2018年10月7日日曜日

その6 趣味と仕事の境界(2)






















迷いながらも虹ケアを描き続けていたあたしに、
ある日Twitter社からメールが届いた。

こんにちは @tomobikichinatu 
 Twitter広告で新規顧客にアピールし、
 御社のビジネスゴールを達成しましょう。
(原文まま)

ビジネス?

Twitterの担当者が何を見て、
このメールをくれたのかはわからない。
ただ、少なくともここに、あたしの一連の活動を、
「ビジネス(仕事)」と捉えてくれる人がいた事実。
プロ失格を言い渡されて、業界を離れたあたしにとって、
これはとても意外で、ものすごく嬉しいことだった。

同じ頃、アラサー手前なリーマンの友人から、
「俺たちの読むものがない」と愚痴を聞かされた。
今時の漫画は、30代以降は「おじさん」として、
脇役扱いだし、たまにこの世代が主人公の漫画が出ると、
くたびれた世捨て人だったり、社会不適合者だったりする。
以前はこうじゃなかったんだよ。
少年漫画誌の代表、週刊少年ジャンプだって、
「CITY HUNTER」とか「コブラ」とか「花の慶次」とか、
大人が「カコイイ」漫画だらけだったし、
当時の圧倒的な発行部数を支えたのは、実は大人の購買層だった。

今だってテレビドラマでは「カコイイ」大人は、
普通に主役なんだけど、漫画の世界においては、
働く30代40代を中心とする、最も購買力のある層に向けて、
真っ当に描かれているものが、圧倒的に少ない。
現状、日本のWeb漫画業界は、
「異世界バトル」「食べ物」「恋愛(エ口含む)」の三本柱が主流で
その大半が低年齢層(学生&大人になれない高齢子供)向け。
言い換えれば「絶対人口が少ない上、経済力もない層」を、
ターゲットにしている。

日本を代表する大手出版者の編集者は、基本的に難関大学卒。
彼らの多くが「漫画なんか読まずに勉強しなさい」と、
言われて育てられた層である。
そんな彼らにとって「これから売れる漫画」が、
「現在売れている漫画」に準ずることは想像に難くない。
そして、アレンジが容易で、コピーの作りやすい「三本柱」は
社会経験の浅い漫画家でも、比較的楽に描くことが出来る上、
子供は反応がビビッドなので人気も得やすい。
描く側、描かせる側の思惑が一致した結果、
おこちゃま向けに、大量の劣化コピーが生産されていく。
ただ、悲しいかな、子供はお金をもっていない。
業界が衰退していくのも宜なるかなである。

そんな日本の事情をよそに、先入観のない外資系大手SNSが、
「これはビジネスである」と承認をくれた事は、
あたしの意識を大きく変えるきっかけになった。

今の世の中が、必要としているものを描けないか?
これがビジネス発想への転換だった。

介護施設青春漫画として位置付けてきた「虹ケア」に、
経営バトル要素が加わり、
「おっさんパーク」化(友人談)が始まった。
現在の虹ケアにはやたらと個性的な、
妙齢の大人世代が次々登場するが、こんな裏事情があったんである。

漫画を趣味で終わらせるか、仕事に結びつけるか、
その境界は「誰かの役に立つ」だと個人的には思う。
この場合「役に立つ」と「楽しませる」は同義語。
「読み手のために描く」という発想を持った時、
「趣味」は「仕事」へと昇華する。

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