2018年11月4日日曜日

その12 Web漫画の産直配信とは(3)























実はこのブログ始めて以降も、
配信先が増えている。
DMM電子書籍、
♪DMMドットコム♪ で有名なとこですね。
グループのゲーム事業では、
艦隊これくしょん(艦これ)
刀剣乱舞-ONLINEなどの
超有名ゲーム出してる会社です。
マンガBANG!、
Reader Storeでも虹ケア配信開始。
マンガBANG!はスマホアプリで有名、
Reader StoreはSONYの電子書籍ストアです。

日本の大手電子書店を知りたければ
このブログに来い!って感じになってきた。
配信先リストを見るたびに、半端ないって!な気分になる。
街の片隅で、手作りの品売ってたハンクラ主が、
世界中に作品を卸すようになった感じ。

こんなシンデレラストーリーを、現実にしてくれた、
魔法使いのおばあさんが、
(株)ビーグリー(Beaglee Inc.)という会社。

細々かつ淡々と「虹ケア」を更新していたあたしに、
「お話を伺えますか?」というメールが届いた。
この時、真っ先に考えたのが
「あたし、権利侵害とかしたかな?」だったのは今でこそ笑い話。
パニック起こしながら、言い訳を考えていたのが懐かしい。

「作品をうちから配信しませんか?」
「配信って何ですか?」
「電子書籍にして売るんです。」

担当者との面会時、初めの会話はこれだった。
業界離れて久しいあたしは、頭いっぱい疑問符飛ばして聞いた。
「配信って、やったら無料公開出来なくなりますか?」
とにかくたくさんの人に、読んでもらうのが目的のあたしには、
読者が限定されることが、一番の問題だったのだ。
「何をやっても自由ですよ、うちが扱うのは配信権だけです。」

だったらよいか、と、実はよくわからないまま了承、契約書が送られてきた。
不安だったので、業界関係の知り合いに、これを見せたら驚愕された。
「ビーグリー? 最大手だよ、しかもこの契約書って…。」
非独占、しかも料率は出版社契約と同じ。つまり超絶ホワイトだったのだ。

前段で一般電子書店は、個人とは取引をしないので、
取次という会社を通さなければならないと書いたが、
ビーグリーは、取次機能も有する一般電子書店。
その上、かつてWeb雑誌を出していて、
そこに所属する漫画家さんが、相当数いるという出版機能も持っていた。
そこにあたしを所属漫画家として登録するという裏技で、
この問題をクリアしたのだ。

「あちこち配信しますからね、よろしくお願いします。」

あの時、この言葉の意味、全然わかってなかった。
あちこちって、関連会社の中の話だよね、くらいの認識。
しかし、一部上場企業、業界最大手と自他共に認める、
ビーグリーの持つ販路は凄まじかった。
本当に「虹色ケアハウス」は「あちこち」に広がっていったのだ。


2018年10月21日日曜日

その11 Web漫画の産直配信とは(2)























600枚を超える原稿量、つまり「本気度」と
二次創作・盗作ではないとわかる「独自性」
これがキャリア配信のベースにある条件。すなわち、
Web漫画を産直配信するのには、かなりの忍耐力を必要とする。

ネットの世界で支持を得易いのは、
「異世界」「食べ物」「恋愛(エ口)」の三本柱か、二次創作。
あとは一発勝負で決める事ができる4コマなどの短編。
無名の作家が描く、完全オリジナルの長編漫画なんぞ、
普通はサイトに来てもらうことも難しい。
それを淡々と描き続けるのは、相当根性がいるのだ。
あたしの場合は、介護職の実情を知ってほしい、というのが、
そもそもの動機だったから、やってこれたというのはある。

「お金と名誉」が目的なら、大手出版社に持ち込む方がいい。
ただ、前述の通りこれを狙う人間はめちゃ多いので、
ヒットを飛ばすとなると、宝くじ高額当選並みの低確率。
つまり「選ばれたる漫画家」にならねばならぬのよ。
「選ばれたる勇者」が大好きな、漫画家志望者が多いのは、
こんなところに自己投影があるのかも知れないな。

まあ、殆どの一般人は持ち込みやって、心が折れる経験して、
諦めてしまうんだけど、ここで奮起できる人が少数いて、
何度でも食らいついていくんだよな。
「ドラゴンボール」の鳥山明先生や「遊戯王」の高橋和希先生は、
「少年ジャンプ」でのデビューまでに千枚描いたっていうし。
才能とは諦めない精神力だと、この歳まで生きてくるとわかる。

なお、いたいけな漫画家志望の少年少女に、婆が忠告しておく。
「仕事ください」って自分のアカウントに、
 連絡先つけてる人がたくさんいるけど、
これで依頼があるのは「危ない」業者も多いよ。
描いたの持ってかれて、支払い無しってケースが散見、
これで泣いてる人いっぱい知ってる。
お仕事の依頼が来たら、まず身近な大人に相談しましょう。
これ読んだ大人の方は、お子さんに教えてあげてね。

話を戻すと、
あたしの場合は無料ブログで、更新を続けつつ、
あちこちの無料投稿サイトにも、さわりの部分だけUP。
無料投稿サイトの規約には必ず、
「ここに投稿したら使用権はうちに帰属する」って但し書きがある。
全編あげると色々ややこしいから、頭3枚ほどUPしておいて、
あとは自ブログのURLを貼る。
そうやって興味を持ってくれる人を、少しづつ誘導していった。

投稿サイトには別に二次創作物もあげた。
少しでも知名度を上げるための工作だったことを、白状しておきますが、
本人が大好きなジャンルだったのも事実なんで、そこは笑ってお許しを。
なお、この二次創作「東方project」4コマ漫画は、
今もぼちぼちTwitterほかで更新中。

で、ある程度原稿がたまると、これを単行本くらいの量にまとめて、
別サイト作って置いておく。読んでくれる人のためもあったし、
自分が将来セルフ出版するときの準備でもあった。
これが4巻分溜まった頃に、運命のメールが届いたのである。

2018年10月18日木曜日

その10 Web漫画の産直配信とは(1)






















Web漫画の産直そのものは、簡単である。

ここでは、既にデジタル漫画を描ける技術がある、
という前提で話を進める。
製作については、その道のプロがあれこれと、
いろんなサイトで解説してくれてるので、
「デジタル漫画」「描き方」と検索を。
ただ、これ人によってやり方が違うので、
あたしもいずれ、ノウハウを公開するつもり。

まあ、産直Web漫画とはそうして描いたものを、
ブログなりTwitterなりにUPするだけで成立する。
もう少し知識があれば、自分のホームページを作ってもいい。
どのやり方にも無料サービスがあるので、
初期投資はパソコンor製作ツールと
Adobe・Photoshopやセルシスのコミックスタジオ
(後継はクリップスタジオ)などの、
デジタル漫画制作ソフトと周辺機器。
あとはネットにつながる環境があれば、
金銭的にはノーリスクで自分の作品を公開できる。

当初はお金かけてられないから、無料で始めるのが普通だろう。
だんだん集客力が上がってきたら、有料サービスに移行して、
アフィリエイトで収益化、その一方でセルフ出版するのが、
一般的なやり方だと思う。

趣味と仕事の境界編で書いたことと被るが、
あくまで個人的意見として、現状、本気で漫画家を志すなら、
個人で運営を考えるか、大手出版社に持ち込む事をお勧めする。
大手で仕事をするメリットは、その宣伝力。
才能があれば、歴史のある出版社は、
長年培った経営ノウハウと人脈で、大々的に売り出してくれる。
その点、大手出版社で仕事が出来れば、それに越した事はない。
ただまあ、こっちはアイドルスター並みに競争率が高いのがネック。
その点、個人による自営なら、地味ながらアフィリエイトや通販で、
収益を上げる事もできるし、戦う相手は自分だけである。

さて、Web漫画の産直は簡単だが、換金化で一気にハードルが上がる。
換金化の方法は前記事で書いた通りだが、
個人が配信業者と直取引で、一般電子書店に作品を出すことは、
不可能であると思われていた。

それにはいくつか理由があって、
基本、一般電子書店は個人との取引はしない。
先ずは「取次」という会社を通さなければ、話も聞いてもらえないのだ。
「取次」は一般流通でいう「卸売業者」のイメージかな。
普通の人が、イオンに直接野菜持って行っても売れないのと似てる。

そして、取次は個人ブログでの連載物は基本扱わない。
これには色々な事情があると思うが、一番の理由は、
「中途で止められたら信用に関わる」かららしい。
この点は、既に連載が完結しているものであれば、可能性はある。

次に、二次創作物(or盗作)であると目も当てられない事態になる事。
よく出来た漫画が、実は既出の作品に、
インスパイアされたものだったら、権利侵害になる可能性がある。
トラブルになりそうなものは扱わない、というのが鉄則なのだ。
その点、出版社が出しているものは、版元が保証するからね。
当然だが二次創作物は、公式での配信は不可である。

そう考えると「虹ケア」が配信に至った理由は、
「絶対にコピーの作れない」変わった話だった事と、
先方から話があった時点で、既に単行本にして4巻分、
600枚を超える物量があった事が大きいと思われる。

2018年10月17日水曜日

その9 個人が漫画を売る方法あれこれ






















平成になって、ネットも発達、個人が出版社を通さず、
独自に作品を公開すること自体は簡単になった。
だが、収益を上げるには、
これに換金システムを付ける必要がある。

代表的な手段としては自前で「紙本を作って売る」直販と、
自分のサイトに「広告を掲載して利益を得る」アフィリエイト、
「漫画アプリ」や「投稿サイト」を通じての配信、
そしてあたしのやってる「産直配信」がある。

自作紙本の場合、基本的には紙本を自分で印刷編集、
それを通販やコミックマーケット、
あるいは実店舗のある関連ショップで委託販売する。

アフィリエイトは、自分のサイトに広告を貼り付けて、
その売り上げに従って、広告主から支払いを受けるやり方。
日本ではAmazonアソシエイトとか、
楽天アフィリエイトなんかが有名広告主。
ちなGoogleアドセンスも有名どこだけど、
これは前記ふたつとはちょっとシステムが違う。
なおアフィリエイトについては、
後日その詳細を別枠で書く予定だが、
これからの新規参入についてはかなり厳しい感。

なお、自作紙本や広告掲載型で、収益率が高いと思われるのは、
オリジナルよりも「二次創作」と呼ばれるタイプ。
現行の漫画その他を、自分なりにアレンジして描くもので、
共通認識部分を省略できるため、描くのも楽だし、ファンもつきやすい。
ただ、法的には黒に限りなく近いグレーゾーンなので、
元ネタ主から文句言われると、閉鎖せざるを得ない。
最近では出版社による公式二次創作まで登場して、
いつの間にか市民権を獲得した感がある。

個人的に問題が多いと感じるのは「投稿サイト」での配信。
原稿買い切りの場合はとにかく、
売り上げの料率で支払いが決まるタイプだと、
契約は「売り上げの7割支払」ってなっていても、
どれだけ売れたかを、正直に報告してくれるかどうかは、
その業者の良心にかかっている。
あと、「売り上げ」が「経費を除く」になっている場合、
還元が無いということも大いにあり得る。
これは業者の問題というより、実際に電子書籍って、
かけた経費の元を取るのが大変だからなんであるが、
これでトラブルになった例を、いくつか見ているので、
契約時は慎重に約款を読んだほうがいい。

契約といえば、大手出版社に多い「専属契約」も、
「10年専属」とは「10年間他の会社とは仕事できません」と、
いう意味であって、10年間仕事をくれるって意味じゃない。
連載決定時にこの契約結んじゃうと、3回で打ち切られても、
10年間他に原稿持っていくことができない。
わたしのように編集者がハズレだった場合、最悪の事態が起こる。
このリスクは知っておくべきだと思う。

最後に「産直配信」だが、最も安全性が高く、確実である。
Amazonがやってる
ダイレクト・パブリッシング Kindleインディーズマンガなんかが、
これの代表的な窓口で、今後はもっと増えていく予感がある。
独占権を要求しないこのサイトは、作家側に取ってはありがたい存在。
ただ、Kindleインディーズは、現状では無料公開が原則なので、
収益性は無く、宣伝のためと割り切って使うサイト。
ここからKindleセルフ出版して有料化する事が出来るが、
元が取れるかどうかは実力次第。

なお、独占権については、また別に項目を作って語りたい。
漫画家志望の皆さん、この知識がないと痛い目にあいますよ、マジで。

わたしのやっている産直配信は、配信業者と直取引する形で、
広告宣伝が自前である点を除けば、最もメリットが大きいやり方だろう。
ただ、正直言って最も敷居が高いのもこのやり方。
わたし自身、初めからこれを目指していたら達成していなかったと思う。

2018年10月14日日曜日

その8 趣味と仕事の境界(3)






















「誰のために描くか」は実は大きな問題である。

たまたま自分の描きたいことが、世間のニーズに合っている
運の良い描き手もいるにはいる。
だが、断言できるが、プロの作家は必ずこの、
 「誰のために描くか」をきちんと意識している。

実際に編集部に持ち込むとわかるが、担当編集者が初めに、
新人に教育するのがこの理念である。
雑誌には「読者層」というのがあって、
例えば「週刊少年ジャンプ」の場合、おそらくだが、
現状圧倒的に10代の男子が多い。
当然、10代の男子が好む世界を描くよう指導される。

同じ意味で、レディースコミック誌に任侠漫画を描いても、
普通はスルーだろう。
ただ、世の中にはとんでもない天才がいるもので、
「ごくせん」のようにレディコミのカテで任侠描いて、
大ヒットになった作品もある。
これは「任侠」という特殊な世界を、女性が楽しめるように、
 アレンジしたことが、ヒットの要因として大きかったはず。

この「好む」「楽しめる」がつまり「誰のために描くか」だ。

これ別に難しいことではない。
自分の描くものを、楽しんでくれる読者を想定するだけ。
描きたいことを描いて、誰かがそれを楽しんでくれて、
お金を払ってもいいって感じてくれた時、
「趣味」は「仕事」への壁を突破する。
仕事とは、読者からお金を出してもらえる作品を創ること。
世知辛いようだが、プロはそれを実感し、実践している。
そして、楽しんでくれる人の数が多いほど、人気作家になる。

昨今、ネットに無料投稿サイトが大量に開設されているが、
個人的には、本気で漫画家になりたいと思ったら、
老舗の出版社に持ち込むことをお勧めする。
投稿サイトの場合、指導側は漫画に関しては素人が多い。
その点、老舗編集部には経験による蓄積で成立している、
ルールとノウハウがある。
それは耳に痛いほどに、貴重な学びにもなる。
編集者にも「プロ」と「アマチュア」がいるのだ。
「進撃の巨人」の大ヒットを見てもわかるように、
「当たり」の編集者はブームを創る力を持っているからね。

ニーズの話に戻るが、現在Web漫画業界は、ほぼ子供向け。
大人向けとなると、なぜか「レス夫婦」や「性格悪い女」
「サイコホラー」系の、隠キャ向きなものが目立つ。
陽キャ社会人向きは、ネットでは需要が無いと、
多くの配信会社は考えているのかも知れないが、
発想を転換すると、需要を作り出す事が出来れば、
トップランナーになれるとも言える。
一般電子書店が、大人世代にも認知されるようになった今、
ここでの需要を掘り起こせば、面白いことが起こるはず。

雨の日に、傘をささない習慣の国で、傘を売ればどうなるか。

「売れるわけない」
「どんどん売れる」

どちらも正解で、考え方の問題なのだ。




2018年10月8日月曜日

その7 チートと正攻法と






















ちょっと横道だが
Twitter広告の話があったんで、チートの話もしたい。

Twitterのフォロワーも、いいね、もリツイートも、お金で買える。
これ秘密でもなんでもなくて、「フォロワー」「買う」で検索すると、
該当するサイトがいくつもヒットするし、
この春、アメリカでは偽アカウントの一斉排除が行われた。
日本でも影響はあったみたいだけど、
ほとんどのサイトは網の目を潜り抜けたようだ。

あたしが見たサイトは1フォロー1円だった。
つまり1万円で1万フォロワーが買えるという事になる。
デビュー間もない新人作家や、代表作のない絵師に、
10万フォロワーが付いていたりするのは、ほぼこれである。
プロモートの手段としては、安上がりでインパクトあるからね。
某政党党首の公式Twitterが、開設一日で10万フォローついたって、
話題になった事があるんだけど、
これなんかも該当案件ではないかなと思ってる。

なお、チートはブログにもある。
某有名人御用達ブログは、
Googleのsearch consoleの結果と
アクセスカウンターの数が3桁違うことがあるし、
(要するに盛れるわけですね)
生ドアのブログなんか、
自前で拍手し放題…おっと誰か来たようだ。

ともあれこれらのチートを使えば、
いわゆる「バズらせる」事が可能である。
そうしてトレンドに上がらせればいい宣伝になる。
ぶっちゃけ自分の作品アップするたびに、
いいねとリツイート買って、バズらせてる描き手もいる。
体力のない出版社は、プロモートまで描き手に丸投げするから、
これは致し方ない事なのかもしれないが、
個人的にはこれはNGだと考えている。

単純に有名になりたいだけなら、チートは有効だけど、
これで買った人気は、先行投資に過ぎないから、
実力が伴わないと、一発芸で終わってしまう。
一発芸を繰り返してその「名声」を維持するとすれば、
チートの代償は結局高くつくとも言える。

だったら正攻法の宣伝に、お金かけたほうが良くないか?

これ書くとステマ扱いされそうだけど、まあここはブロガーだし。
Google広告のAdWordsなんかだと、テキスト広告なら、
月額1万円くらいからお試しできるし、適切に使えば効果はある。
宣伝すべきオリジナル作品があるような作家なら、
長い目で見れば「本当のファン」を獲得できるメリットは大きい。

ちな、あたし自身はフォローにはバックを心がけてる。
いいねやリツイートしてくれる人に、
お礼は出来なくてもお名前は覚えたい。

将来的にはYouTubeのように、
 1話あたりの表示回数に合わせて収益の出る、
漫画に特化した投稿サイトができればと思う。
商業ベースには乗りにくいけど、良心的で
心あたたまる作品を作ってる描き手さんは多い。
そんな作品を読みたいと、望んでいる人もたくさんいるはずだ。
二次創作や盗作を、見極めるのが難しいという課題はあるが、
上手くやれば双方wktkの、楽しいサイトになると思う。
Googleさん、システム作ってくれませんかね。


2018年10月7日日曜日

その6 趣味と仕事の境界(2)






















迷いながらも虹ケアを描き続けていたあたしに、
ある日Twitter社からメールが届いた。

こんにちは @tomobikichinatu 
 Twitter広告で新規顧客にアピールし、
 御社のビジネスゴールを達成しましょう。
(原文まま)

ビジネス?

Twitterの担当者が何を見て、
このメールをくれたのかはわからない。
ただ、少なくともここに、あたしの一連の活動を、
「ビジネス(仕事)」と捉えてくれる人がいた事実。
プロ失格を言い渡されて、業界を離れたあたしにとって、
これはとても意外で、ものすごく嬉しいことだった。

同じ頃、アラサー手前なリーマンの友人から、
「俺たちの読むものがない」と愚痴を聞かされた。
今時の漫画は、30代以降は「おじさん」として、
脇役扱いだし、たまにこの世代が主人公の漫画が出ると、
くたびれた世捨て人だったり、社会不適合者だったりする。
以前はこうじゃなかったんだよ。
少年漫画誌の代表、週刊少年ジャンプだって、
「CITY HUNTER」とか「コブラ」とか「花の慶次」とか、
大人が「カコイイ」漫画だらけだったし、
当時の圧倒的な発行部数を支えたのは、実は大人の購買層だった。

今だってテレビドラマでは「カコイイ」大人は、
普通に主役なんだけど、漫画の世界においては、
働く30代40代を中心とする、最も購買力のある層に向けて、
真っ当に描かれているものが、圧倒的に少ない。
現状、日本のWeb漫画業界は、
「異世界バトル」「食べ物」「恋愛(エ口含む)」の三本柱が主流で
その大半が低年齢層(学生&大人になれない高齢子供)向け。
言い換えれば「絶対人口が少ない上、経済力もない層」を、
ターゲットにしている。

日本を代表する大手出版者の編集者は、基本的に難関大学卒。
彼らの多くが「漫画なんか読まずに勉強しなさい」と、
言われて育てられた層である。
そんな彼らにとって「これから売れる漫画」が、
「現在売れている漫画」に準ずることは想像に難くない。
そして、アレンジが容易で、コピーの作りやすい「三本柱」は
社会経験の浅い漫画家でも、比較的楽に描くことが出来る上、
子供は反応がビビッドなので人気も得やすい。
描く側、描かせる側の思惑が一致した結果、
おこちゃま向けに、大量の劣化コピーが生産されていく。
ただ、悲しいかな、子供はお金をもっていない。
業界が衰退していくのも宜なるかなである。

そんな日本の事情をよそに、先入観のない外資系大手SNSが、
「これはビジネスである」と承認をくれた事は、
あたしの意識を大きく変えるきっかけになった。

今の世の中が、必要としているものを描けないか?
これがビジネス発想への転換だった。

介護施設青春漫画として位置付けてきた「虹ケア」に、
経営バトル要素が加わり、
「おっさんパーク」化(友人談)が始まった。
現在の虹ケアにはやたらと個性的な、
妙齢の大人世代が次々登場するが、こんな裏事情があったんである。

漫画を趣味で終わらせるか、仕事に結びつけるか、
その境界は「誰かの役に立つ」だと個人的には思う。
この場合「役に立つ」と「楽しませる」は同義語。
「読み手のために描く」という発想を持った時、
「趣味」は「仕事」へと昇華する。